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2017年6月3日

先般、友人のテンペラ画という手法による作品展を見てきた。
テンペラ画とは何か、という疑問は甚だ正当なのであるが、説明が面倒くさいのでリンクを貼る。

2017年6月3日

大変に愛らしい絵画であるが、少し角度を変えると大変にシュールである。
僕は全くの門外漢であるので、こういう場合にどう表現していいのか悩むところだが、テンペラ画の特徴である発色の豊かさと題材との接地が波打つような不安を喚起する。

2017年6月3日

技法としては大変手が込んでいるのだけど、それは二元的な話だろう。
絵画である以上は、それとして見て、どう感じたかが重要である。

僕は見ている間、ずっと連想する作家があった。
文章の一節が浮かぶのだけど、どうしても作者の名前が浮かんでこない ( 笑 )
もう末期的だな、と自虐していたのだけど、先ほどその謎は瓦解した。
稲垣足穂であった。

ある夕方 お月様がポケットの中へ自分を入れて歩いていた 坂道で靴のひもがとけた 結ぼうとしてうつむくとポケットからお月様がころがり出て 俄雨に濡れたアスファルトの上を ころころころころ どこまでもころがっていった お月様は追っかけたが お月様は加速度でころんでゆくので お月様とお月様との間隔が次第に遠くなった こうしてお月様はズーと下方の青い靄の中へ自分を見失ってしまった

もちろん補完したが、想起された一節とは、まさに「一千一秒物語」の一節であった。

2017年6月3日

A と V と P の感覚の話は別として、足穂に至る自分のプロセスが何とはなく視点が右往左往する現状を、主体性のなさが嘲笑していることを、改めて認識させるのである。